Tuesday, April 24, 2012

赤ワイン・ポリフェノール・健康とその真実

    赤ワインに含まれるポリフェノールはアントシアニン系(赤色や紫色、青色などのもと)、タンニン(渋み)、カテキン系、クルクミン系 、レスベラトロール(DNAを酸化から守る)等があります。 (ビタミンCもDNAを酸化から守りますが、少しDNAを傷つけると云われています)。新聞、雑誌、テレビでワインに関してたびたび登場するキーワードは、このポリフェノールです。
    フランス人が肉や乳製品を中心とした高脂肪な食生活を送っているにもかかわらず、心疾患などの生活習慣病に罹患する率が低いという「フレンチパラドックス」というものです。

よく言われるワインの効用
  • 動脈硬化やガンの予防-ポリフェノール(活性酸素と素早く結合)
  • アルツハイマーの予防-マグネシウム(脳細胞の活性化)、カリウム
  • 高血圧予防-カリウム(体内のナトリウムと結合、塩分減少させる)
    熟成した高級ワインには通常のワインと比べ、特に多くの有効成分が倍加されています。だから、高級志向の日本人には余計売れるでしょうね。が、ワインほどピンきりの商品はないため、偽装も絶えません。余程知識がないと、安易に高いブランドを買わないほうが無難です[20]。
    ワインの適量は1杯(ポリフェール含有量は一番多い野菜の20倍あると言われる)とされます。



しかし、しかしですが

いいことばかりではありません!

    ワインには大体16パーセントのアルコールはあります。アルコールは細胞を殺しします。非常に分かりやすい話です。理屈はともかく、一般的には「適量」の飲用者は禁酒者かアル中者より(端的にいうと)死亡率が低いそうです。


    国際がん研究機関はアルコールをIARC発がん性リスクのグループ1(ヒトに対する発癌性が認められる(Carcinogenic)、化学物質、混合物、環境)に分類しています。

    2000年5月28日の毎日新聞には以下の記事内容はあります。
抗酸化物質のポリフェノールが「体によい」といわれ、赤ワインやココア、チョコレートなどを口にする人も多い。だが、1日に食べている野菜や果物、緑茶のポリフェノール量を合わせると、赤ワインでグラス3杯程度、板チョコレートで3枚以上に当たり、通常の食事でもポリフェノールが摂取できていることが、国民生活センターの商品テストで分かった。同センターは「ポリフェノールだけを気にしていると、商品によっては脂質や糖質、アルコールやカフェインの取りすぎにつながる」と“ポリフェノール信仰”の行き過ぎにクギを刺している。
    過去の研究は、ワインを他のアルコールと同じものであると結論付けて、つまり基本的に体に良くないものとしていました。しかし、最近の10年か20年、「新しい」研究成果がどんどん発表されて、ワインは実は体にいいのではないかと変わってきました。

    つい最近、そのすべてを覆すような論文は発表されました。Charles J. Holahan氏の"Wine Consumption and 20-Year Mortality Among Late-Life Moderate Drinkers" (Journal of Studies on Alcohol and Drugs. Volume 73, 2012; Issue 1: January 2012)は、55から65歳までの802人を20年追跡し、各種疾患の発病率と死亡率などを解析しました。その結論は、ワインは他のアルコールより各種の確率を改善するような関係を見いだせなかったことです。つまり、「フレンチパラドックス」を裏付ける証拠はないことです[7]。

    人々困惑させるのは、University of Connecticutの教授であったDipak K. Dasです。同氏は、レスベラトロールresveratrol)の研究に関して有名な研究者でした。しかし、同大学の調査によると、氏は145回以上にわたって研究データを捏造していました。時には、フォトショップまで使って 捏造を行っていました。作ったデータだから信憑性はもっともらしく聞こえるに違いありません。その証拠、同氏の名前は500編以上の論文に名前を挙げています。その内170編はレスベラトロールに関するものです。[8]
    そもそも、レスベラトロールが健康にいいといわれるのは、この成分はサーチュイン(sirtuin)を活性化(activate)させるとされるからです。サーチュインは細胞の代謝(metabolism)を制御するそうです。この説にも賛否両論で、相互矛盾する研究が発表されています[11]。仮に本当に寿命を長くする効果があっても、賛成派の研究に使われるレスベラトロールの量は、4000mg/日(Dr. Auwerxの研究)です。グラス一杯の赤ワインには、僅か1mgしかない(!!!)ことを考えると、赤ワインの長寿効果はほとんどないとしか言いようがありません。もう一人の有名研究者であるSinclair の研究に使われた量でも、約その20分の1である20mgです。後者の研究で確認された「延命」効果は定かではないが、一日20杯のワインでも飲んだら、アル中で逆に早死にしてしまいます。
    もう一つの落とし穴は、人間のレスベラトロール吸収効率です。当然ながらほとんどの実験は動物で行われているので、しかも、なるべく寿命の短いものを対象にしてます。その限られた動物にある程度の効果が確認されていても、同じことは人間の体で同様に繰り返されるかは保障できません。これは、レスベラトロールに限った話ではありません。

     複雑で分かりにくい研究成果はともかく、ワインに入っている添加剤なら分かりやすいでしょう。亜硫酸塩ソルビン酸があなたを悪酔いさせるという説はあります。特に輸入ワインには現地マーケットのより多量に入っているそうです。この亜硫酸塩とソルビン酸は「日本人を狂わせる五つの有害物質」とされる中に入っています。因みに他の三つは安息香酸(防腐剤)、亜硝酸塩(発色剤)、味の素(MSG 核酸系調味料)です。

参考リンク
[1] ワインの健康効果
[2] 赤ワイン健康説のウソ(魚拓)
[3] ワインに含まれる亜硫酸塩とソルビン酸があなたを悪酔いさせる
[4] 亜硫酸塩-食と健康に関する辞典
[5] Health effects of wine
[6] Wine Consumption and 20-Year Mortality Among Late-Life Moderate Drinkers
[7] Late-Life Alcohol Consumption and 20-Year Mortality。同日本語記事、「ワインが健康に良いウソ? 米研究が“都市伝説”暴く
[8] Red Wine and Lies(赤ワインとそのウソ)
[9] UConn Investigation Finds That Health Researcher Fabricated Data
[10] Wine Fraud
[11] The Truth About Red Wine And Your Health
[11] Longevity Gene Debate Opens Trans-Atlantic Rift
[12] Resveratrol - Wikipedia
[13] 日本人を狂わせる5つの有害物質

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